愚葉土

腐った葉っぱは肥料になるけど、愚かな言葉は何にもならぬ

音楽を語れない

たとえばストーリーのあるものだったら、「この展開がこう繋がるのが好き」とか言うことができる。また絵や文章でも明確に「この部分が良かった」と指し示すことができる。しかるに音楽について感想を言うのはとても難しいよね〜〜って話です。音楽を語るには独特の語彙がいるじゃないですか。なんか、ここでコードがこうなるからカッコいいとか……あまりにも知らなすぎて例示もできないけど……たぶんあれですよね。ロキノンとか、音楽にまつわる雑誌言論を吸収することで音楽を語る型を習得してるんですよね。

 


できないなりにちょっと、好きな音楽についてお話しようと思います。

東方project、好きですか。

大変申し訳ないけどわたしはやったことがないです。今年に入るまでウィンドウズPCがなかったので。ただ作中BGMだけは10年くらい聴き続けていて、愛着はひとしおあるつもりです。もっともあの作品の楽曲はゲームの展開ありきで作られているので、いくらエアプ勢が語っても重要なところは抜け落ちてしまうんですが……戯言と思って聞いてください。

 

あまりに劇的で、悲壮で、ロマンチック。とにかくサビが鮮烈すぎる。東方projectはレトロモダンな少女漫画がモチーフ(だと思っている)だけど、ピコピコFM音源でこれほど懐古浪漫的な印象を抱かせるのって凄まじくないですか。そして口ずさんで気持ちいい。東方の曲はみんな、人に歌われるためのメロディである気がします。

この「古き良き」「愛唱したくなる」印象は昭和歌謡に似てるかも?と思ってたら、音楽に詳しい人が解説してくれました。曰く、東方BGMのメロディは民謡の音階から採られているんだそうです。だから日本の童謡とか、ひいてはケルト音楽なんかにも通じる血を引いているらしい。すごく納得する。背景知識を知っておくことも、語るスキルのために必要なんでしょうね。

あとこれは刷り込みである可能性が高いんですけど、この曲の主人公って確実に「うら若い乙女」だと思いませんか?東方だからってのもあるけど……しかし同じ激情的な曲でも、明らかに「戦場で慟哭する兵士」ではなく「夢破れた少女」という印象なんですよね。これがフルートとかハープとか女性的記号っぽい楽器で演奏されていたらまだしも、ピコピコ音源にはそういう意味づけはないと思うんだよな。

メロディが高音階だから女の子が歌ってる感じがするのかな?たとえば同じ旋律をギターベースで弾いたら印象が変わるかもしれない。そもそも音楽に「主人公=人格」があることを前提で考えてしまうのも不思議なことですが、これはさっき言った「歌謡曲っぽい」ことが影響しているんだと思います。

自分で言ってて不思議に思ったけど、なんでフルートやハープを女性っぽいと思うんだ?実際は男性奏者もいるだろうに。と思って調べたら、「楽器とジェンダーステレオタイプ」について研究した論文が出てきました。めちゃくちゃ面白い。実際そういう認識はまかり通ってるようだ。由来は分からんけど……社会的に、上流階級の女性の習い事として定着してきたとかそういう歴史があるのかな。低音楽器・高音楽器の違いも関係してるのかもしれない。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjomer/35/1/35_1/_pdf

自分に全然わからない領域なので、音楽畑の人はみんな魔法使いみたいに思っています。

絵がうまい人は鬼武者だと思ってる。