愚葉土

腐った葉っぱは肥料になるけど、愚かな言葉は何にもならぬ

スピルバーグ服毒

今日の金曜ロードショーは『レディ・プレイヤー・1』だそうだ。

わたしは映画に慣れていない。映画を組み立てるのに使われるテクニックや、常套手段の演出に対してまったく免疫がない。

だからだ、レディ・プレイヤー・1を観たとき開始15分くらいで号泣してしまったのは。

いや正確な時間は覚えてないが。あそこです、最初のレースをクリアしたところ。あれでボロボロ泣いた。いちばんビックリしたのはわたしだ。別に、物語上なにかを語るような場面じゃない。主人公がいいことを言ったりしたわけでもない。最初の問題を解決したというだけだ。ただそこに至るまでの音楽の盛り上げとか、金色の木の葉が舞い上がる視覚表現とか、そういった「ちゃんとした」技術の諸々を感受して泣いたのだ。光と音に刺激された生理反応だ。

動物じゃん!!!

それから30分、しばらく自己嫌悪に陥っていた。情けなさすぎる。それしきで泣くなし。さらに作中で登場するオマージュの数々をほとんど理解できないことも恥ずかしさに拍車をかけた。ああシャイニング観てないです。ごめんなさい。白状すると金田バイクも初見でそれとわかりませんでした。本当に風上におけない。何の風上かはわからない。

60分経つころには、自分の人生について反省していた。生まれてこのかた、時間だけは人と同じだけ与えられてきた。だがわたしは皆よりはるかに映画を知らない。本を読んできたわけでもない。音楽についてはからきしだし、ゲームすら詳しいわけでもない。じゃあ与えられた時間どうしていた? 人生のリソース、何に使ってきた?

90分経つと、猛烈に頭痛と吐き気が襲ってきた。

140分観終わったころ、完全に倒れていた。

熱中症だった。

 

そういった思い出のある作品なんですね。チェリーボーイが名高い監督の洗練された映画を観るとこうなるという症例です。せめて人並みに映画も本もゲームも知っている人間になりたいが、きっと今からではもう遅い。せめて自分の仕事の範囲についてだけでも勉強していかないといけない。